FILE2 死守 デモ


これを見てくれ
この署が昔
美術館だったときの図面だが
地下に換気用のトンネルが
あったはずなんだ
そこを通れば、外に?
ああ…だが狭すぎて
入れるのは君ぐらいだろう
救援を呼びに行く、というわけね
時間との勝負だわ
通信手段がないんだ
やってみるしかない
皆でトンネルの入り口を探してくれ
…頼んだぞ
この狭さだと、抜けるのに
少し時間がかかるな
こいつで連絡してくれ
近くなら通じる
まかせて
マービン……マービン!…
無事だったか!
お待たせ
今からそっちへ向かうわ
正面の門にトラックをつけるから
集まっておいて
あまり長くは停められないから
急いで乗り込んでね
また連絡するわ
わかった…君も気をつけろ
みんな聞いてくれ!
救援が来る!
正面玄関に集まるんだ!
こっちよ!
さあ、乗って!
は、早く!
これで全員?
マービンは?

行け!早く行け!!
マービン!!
俺に構うな!
早く行くんだ!!
何言ってるの!?
早く来て!!

もう限界だ!
マ―ビン!!
…心配することはねえ
やつは根っからの警官さ
あんな程度でくたばるもんかよ
まだナマイキな新米どもを
シゴき終わってねえしな…
そうだろ?…マービン
まだ…死ねん…
銃声の中、悲痛な叫びが尾をひく
…あの蒸し暑い日々が蘇る

何度聞いても、慣れることも
飽きることもない音

生き残った我々を
その音は責めたて続ける…

「本当に、どうしようも
なかったのかい?」

誰かにあとで聞かれたら
…こう答えるつもりさ

「やりなおせない質問は
するんじゃないよ」ってね

徒労感…ただそれだけが
私を満たしていた

いくつもあったはずの選択肢
…そこから選んだ運命

取り戻せないと解っていても
悔やまずにはいられないのだ

俺は勝ち残った
それを責められるいわれはない

だが同時に
俺は負け犬でもある

考えてもみろ…本当の勝者なんて
どこにもいやしねえ

泣きはらし、涙を枯らすのは
あたしのやる事じゃない

いっときの感情を押し流しても
何も解決しないのだから

この重さを胸の奥に積んで
生きていくしかないのよ

勇気さえあれば
どんな苦難も乗り越えられる…

そんななぐさめは
今、何の役にも立たない

出来ることはただうつむいて
静かに命をかみしめるだけ

明日を願うなら
こんな結末もある

無理やり自分に
そう言い聞かせようとした

でも…やっぱり違う
これで良かったはずがない…

必ず救援を連れてくるわ