第8章 意気消沈した


ついに完全な突破口が開けた。

後は、不明な領域を調べ、それらの値を変更すると、どうなるのかを突き詰め、完全なオリジナルなカメラワークを作り出すことができる。

すごいぞ。やったぁ!!

という喜びと同時に、とてつもない焦燥感に襲われました。
この時点で理解できているのは、320バイトのデータ郡の内のX1,H1,Y1の3つの情報です。
それぞれ4バイトの値であり、残りの320-(4*3)=308バイトのデータは未だ不明であることです。



もし、まだ不明なデータの謎を解いて、その全てを理解できたと仮定し、さらに〇〇さんが作ったツールの発展版を自分の手で作れたと仮定し、さらに全てのシナリオの全てのRDTファイルの全てのカメラ情報を変更した場合、一体どれだけの作業時間が必要なのかが検討もつかないのである。

恐らく何か月もかかるのではないかと思います。

もし、それが出来たと仮定し、カメラアングルを変更した「ニューバージョンのアウトブレイク」のMOD PACKを自分の手で作ったとしても、果たしてそれを喜んで使って遊んでみたいという人がいるのだろうか?という疑問が沸いて出てきたのです。


実は答えはとっくにわかってます。
そんなものに興味を持つ人など、ほぼいないてことです。

このサイトは、日本人による日本人のための情報サイトであり、ターゲットはあくまでも日本のBIOHAZARD OUTBREAKシリーズを好きな人です。

今それを遊んでいる人と、これから先来るかもしれない人達のために作成しています。

しかし、残念ながら日本人プレイヤーは、現時点で20人もいないと思います。
その全ての人がこのサイトを知っているか、見ているかは不明です。

そしてこれから先もプレイヤーが増え続けることもありません。
誰かが新しく参加するようになっても、誰かが少しづつやめていくのが現実です。

その証拠に1年前にいた人たちは、いつのまにかいなくなりました。
そして新しく来た人も同じように一年したら、何人かはいなくなります。


その20人ほどの中で一体誰がこんなものに興味を持つのだろうかと考えた時に

たぶん誰も興味など持たない

という結論が出てしまうのです。

もしかして、このサイトを外国の方も見ようとしてくれたかもしれないが、内容は日本語です。
翻訳ソフトやgoogleなどで英訳したところで、ほぼ理解不能でしょう。


つまり、こんなことを躍起になって力を入れたところで、まったくもって需要などないのです。
そんなことは、とっくの昔に気づいてはいますが…。

そして、私は
「ここまでは、自分自身の興味もあって、なんとか食らいついてできるようになったが、ここから先は、他の人が興味を持たず、需要もないものに対して、作業を続ける必要があるのだろうか?」

という気持ちが強くなってしまったのです。

そして、完全にテンションが下がってしまいました。


当初の「なんとしてでもやり遂げたい」という気持ちよりも「どうせやっても無駄」という気持ちが強くなってしまったのです。

その気持ちを素直に日本人チャットの人達にぶつけてみて、動画を見てもらい、彼らがどんな反応を示すか知りたくなりました。


「実はこんなことができるようになりました。これのMODを作れば、皆さんも新しいアウトブレイクが楽しめるようになります。でも作るのはとても大変です。嘘でもお世辞でもいいから、がんばってと言ってください。でないとモチベーションが維持できないので…」
「すごいですねぇ。がんばってください」


彼らの反応は、やはり「心など無い」とってつけたような返事でした。
もちろんそんな風な返事がくるのは予想通りでしたが…

「一つのシナリオを通しで変更するのは大変時間がかかるのですが、一部だったらお試し版を作ることができそうです。試しにどれか見てみたいものがありますか?」
「あーそうですねぇ…死守のゾンビ戦などどうなるのか見てみたいですねぇ」

なるほど、死守のゾンビ戦か…試しにやってみるか…

てことで、5時間かけて死守のゾンビ戦のカメラワークを変更したものを作ってみました。
この時点でできるものは、あくまでも3つの情報を変更するだけであるので、自分が本当にやりたい理想のものとは、ほど遠いものでした。しかし、今はこれが精一杯です。



出来上がった動画は、あくまでもお試し版です。納得のいく動画ではありませんでしたが、とにかくこれでもいいから、とりあえず彼らの反応を見てみよう。それからどうするかを決めようと思いました。

そして見てもらって意見を述べてもらおうと…


「どうですかね?」
「へー。こんな感じですか…なんか、見づらいですね」
「死守のゾンビ戦は4つのアングルしかないので細かく変更はしにくいのですよ。それにあえて見づらいアングルを作り、難易度を上げるように…」
「じゃあ対峙はじめますよー」「はーいいきまーす」

会話はそれっきりでした。
さすがにこれは堪えました。完全に凹みました。

私が望んでいた会話は

「もっとこうしたほうがいいと思います」
とか
「こんなようなアングルに変更することもできますか?
とか
「これができるまならば、こうゆうこともして欲しい」

とか先々に発展する内容な会話でした。

本気で泣きそうになりました。
こんなことに時間と労力をかけた自分の馬鹿さ加減に笑いました。
と同時に興味を持たない人に何を聞いたところで何も得るものがないことが理解できました。

これは、後ほどこの件で出会うことになる人物が私に語った言葉が全てを示しています

「無知なる人はそれに無関心です」